スズキ・アドレス110 改善対策 クランクシャフトの交換②
早速、クランクシャフトの交換をしていきます。
エンジンを車両から下ろして、オイルを抜いていきます。
空冷単気筒エンジンはシンプルな構造なので、作業も楽しいですね。
腰上部分を外し、クランクケースを割ったところです。
クランクシャフトはケースに圧入されているので、専用工具で外していきます。
左が対策済のクランクシャフトで、テーパ面が適切なものとなっています。
分解ついでにエンジン下部を確認してみました。
エンジンオイルはエンジン下部に溜まっており、オイルポンプで循環させています。
オイルは真ん中くらいしか入っておらず、上部は空洞になっているのが判ります。
オイルが白く濁る場合は、この空洞の中にある空気の水分が混ざってしまうことで発生します。
中央にあるのが、オイル排出口についているオイルストレーナー。
この車両は、オイルフィルターが別でついており、大きなゴミはストレーナーで回収します。
早速、クランクシャフトを組み込んでいきます。
クランクシャフトは圧入されているので、上の特殊工具を使い圧入していきます。
組み上げていったのですが、その過程の画像を撮っておらず、このまま完成となりました。
大きなトラブルもなく、スムースに作業が進んでホッと一安心。
他社のリコール・改善対策もまだまだ残っているので、早急に作業をしていかねばですね!
スズキ・アドレス110 改善対策 クランクシャフトの交換①
ようやく長かった緊急事態宣言も解除されて、まずはホッとしております。
当店の周りでも、まだまだ人の動きが戻っていないように感じますので、
早くいつも通りの日常が戻ってきて欲しいものですね。
さて、この度はスズキ・アドレス110の改善対策作業を実施しました。
時間の掛かる作業ですので、却ってこの閑散な状態で良くも悪くも助かっている
のかも。
今回の改善対策は、発電機側クランクシャフトのテーパ加工が不適切なので、
ジェネレーターロータが正しく嵌まらなくなり、クランクシャフトが破損し、
走行不能になるといったものです。
まずクランクシャフトのテーパ部のフレッティングを確認します。
ロータとシャフトの接触面の傷幅が8mm未満であれば、シャフトは問題なし。
その後、ダイヤルゲージを用いてテーパ部の振れを測定し、基準値外であれば
ロータを交換。基準値内であれば、問題なしとして組み直しをします。
フレッティングとは、2つの物体の接触面が極めて小さい振動によって生じる
表面傷のことを指します。
上の車両は綺麗なテーパ部で、シャフトの触れも基準値内でした。
今回作業する車両はこんな感じで、基準値を大幅に超えており、振動によって
テーパ部表面が損傷し、発生した摩耗粉が錆を生じさせています。
クランクシャフトを交換することとなりました。